私が宝石に惹かれるのは、
美しいから、という言葉だけでは説明しきれません。
何万年、何億年という時間をかけて、
地球の内側で生まれた鉱物。
その小さな結晶の中には、
圧力や熱、光、時間、
その石が生まれるまでに通ってきた痕跡が残されています。
私は石を見ていると、
ときどき、その奥から何かがこちらへ届いてくるように感じます。
言葉になる前の感覚。
色だったり、
風景だったり、
一瞬の光だったり、
どこにも存在しない場所の記憶のようなものだったり。

ジュエリーデザイナーになったきっかけも、
一つの石から「話しかけられた」と感じたことでした。
それ以来、私は石に何かを与えるというより、
まず、よく見ることから始めています。
光にかざす。
角度を変える。
内側を見る。
しばらく一緒にいる。
すると、その石から始まる世界が
少しずつ自分の中に現れてきます。
鉱物から、景色へ。
Artworkでは、
その感覚を絵へと変換していきます。
石の形をそのまま描くこともあれば、
ひとつの色だけが残ることもある。
結晶の構造が線になり、
内包物が風景になり、
光の反射がまったく別の色彩へ変わることもあります。
完成形を先に決めるより、
石を見ながら、現れてくるものを追いかけていく。
描いているうちに、
最初には見えていなかったものが
キャンバスの上に立ち上がってくる。
私はその瞬間が好きです。
音を聴くように、石を見る。
考えてみると、
クリスタルボウルと向き合っているときも、
私はよく似たことをしています。
ひとつの音を聴く。
その奥にある倍音を聴く。
別の音と重なったときに、
初めて現れる響きを聴く。
石を見るときも、
表面の色から、その奥へと意識が入っていきます。
光。
層。
結晶。
内包物。
そして、その石から自分が何を感じているのか。

音を聴くように、石を見る。
石を見るように、音を聴く。
私の中では、
この二つはとても近いところにあります。
EARTH / LIGHT / MEMORY
鉱物は、
地球が長い時間をかけてつくった造形物です。
そこに光が入り、
私という人間が出会う。
その「あいだ」に生まれたものを、
私は描いているのかもしれません。
石の記憶なのか。
私自身の記憶なのか。
その瞬間に生まれた、まだ名前のない景色なのか。
答えを決めることより、
現れたものを見つめていたい。
宝石という小さな宇宙から、
まだ見たことのない世界をひらいていく。
それが、私のArtworkです。